手根管症候群

中年以降の女性、特に40~50歳の人に多い疾患と言われています。
手関節付近の手のひら側には手根管という骨と靭帯で形作る正中神経が入っているトンネルがあります。
その正中神経が慢性的に圧迫されて、手や指にしびれや痛みを起こす病気です。
手仕事が多いなど手の過度の使用や妊娠中の女性、関節リウマチや甲状腺疾患、糖尿病や痛風などの基礎疾患を抱えている人に多く見られます。
朝に目を覚ませたときや夜間睡眠中にしびれや痛みを特に訴えます。
重症になると、親指の付け根のふくらみである母指球がペタンコに痩せていき手に力が入りにくくなります。
軽症の場合には、極力手首を使わないようにサポーターなど安静を保つための装具を使用したり、症状に応じて消炎鎮痛剤などの内服薬、手根管内にステロイドを注射して局所をブロックしたりします。
このような保存的治療で症状が改善しない場合やすでに母指球が痩せ細っている場合は圧迫している靭帯を切る手術が必要になります。
手術は外来手術が可能です。

ガングリオン

体のいろいろなところにできる良性の軟部腫瘍の一種です。
70~80%は手部に発生し、特に手関節部が好発部位です。
袋状の腫瘍の内部にはゼリー状の内容物が充満しています。
治療は穿刺によって内容物を吸引します。
再発を繰り返したり、障害がある場合は摘出術をすることもあります。

肘部管症候群

中年以降の男性に多い疾患です。
初期の症状として小指や薬指のしびれ・知覚鈍磨、肘内側部の痛みなどが多く、進行すると母指と人差し指の間の筋肉(骨間筋)の萎縮、手のひらの小指側(小指球部)の萎縮がみられ、指の細かい動きに障害が出てきます。
さらに進行すると小指と薬指が屈曲し特有な形を呈します。(わし手変形)
原因は肘内側に遅れる尺骨神経の慢性的な圧迫や牽引です。
肘内側には肘部管と呼ばれる尺骨神経が通るトンネルがあり、ここで神経が慢性的に圧迫されたり、ガングリオンと呼ばれる軟部腫瘍が生じて神経が圧迫されることもあります。
加齢による肘関節の変形に伴い神経が圧迫去れる傾向が強くなります。
治療は薬物療法などの保存的治療で効果がない場合は尺骨神経への圧迫・刺激をとる手術を行います。
外来手術が可能です。

五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩とは40~60歳台を中心に発症しはっきりした原因がなく肩関節の疼痛と運動制限を起こす疾患と定義されます。
痛みは寒冷時、夜間に強く前腕、手、頚部への放散することもあります。
五十肩という病名は一般には肩関節周囲炎とも呼ばれます。
この炎症と区別されるのが腱板断裂という腱が切れてしまう病態です。
これは外傷によって起こることが多いですが、上記の炎症の延長で起こることもあります。
この腱板断裂の診断にはMRIと呼ばれる検査が有用で高率に診断可能です。
五十肩の実際の治療としては痛みを止めるためにリハビリ、痛み止めの投与、外用薬(シップ)、などを使用します。
拘縮がある場合はリハビリをして肩の可動域を少しずつやわらかくすることも大切です。
また関節の周辺に注射をして痛みをとる方法もあります。
関節注射にはステロイドといわれる炎症を止めるのに強い効果があるものと関節液に近い成分のヒアルロン酸という粘性の強い薬液を使う方法などがあります。
ヒアルロン酸は最近に保湿効果などで化粧品としても注目をあびていますがもともとは膝関節や肩関節の関節潤滑剤・関節軟骨保護剤として開発されたものです。

ばね指

指の屈伸運動がスムーズにいかなくなった状態で、使いすぎなどにより腱鞘に炎症を起こし、指の付け根に痛みと硬結を認めます。
外用薬や腱鞘へのステロイド注射などで症状が改善しない場合は腱鞘の一部を切開します。
外来手術が可能です。

症例の紹介